ビル売買価格には収益還元法

特定非営利活動法人土地・建物・まちづくり相談センター

■不動産豆知識
ビル売買価格には収益還元法
2004/09/22
角張 敏郎
低金利、年金不信、将来不安などの影響からか不動産証券化、収益ビル所有の動きが活発です。こうした取引に欠くことのできない要件はビルの価格です。ビルの値段はどうやって決められるのか、損をしない価格はいくらなのか。売るほうも買うほうも最も関心のあることです。その決め方の一つとして、今主流をしめている収益還元法について解説します。

不動産の価格をきめる場合、通常「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つがあり、それぞれによってでた価格を見比べて調整することで最終的な価格を決定することが不動産鑑定士の仕事であります。
「原価法」とはビルなり土地なりをあらたに入手する場合には原価としていくら掛かるかを算定し、価格をさだめます。例えば中古のビルならば建築費がいくらかかり、古くなった分だけ減価して計算します。
「取引事例比較法」は適当な取引事例を参考にして当該物件の価格を想定します。「収益還元法」は主に建物の価格査定に使われることが多く、この建物はいくら家賃が取れるかを想定して計算するやりかたです。
特に投資用物件の場合はこの「収益還元法」を用います。そして、この「収益還元法」にも2つの計算方法があります。
一つはDCF法(Discounted Cash Flow)といって一定期間(10年間など)投資する場合に適している方法です。これは、仮に10年後に売却することを想定して、その間に得られる家賃と経費および10年後に売れる価格を想定し、10年間の利益をとって、そのためにはいくらで仕入れたらいいかを計算するやりかたです。これに対して、不動産を長期に保有する場合に適しているやりかたとして直接還元法があります。直接還元法は単年度の収益を収益率(還元利回り)で除して100を掛けると収益還元価格となります。
例えば、単年度の収益が2400万円で収益率を10%とします。
収益還元価格=2400万円÷0.1×100=2億4000万円となります。
これを収益率8%とすると
収益還元価格=2400万円÷0.08×100=3億円となります。
ですから家賃収益が決まっていて、収益率を高くするには購入価格を低くしなければならず、購入価格が決まっていて収益率を上げるためには家賃をたかくしなければならないということになります。
そのため還元利回り(収益率)の選択が重要になるわけです。
一般に将来値上がり期待できる物件は、この利回りが低くなる傾向があります。都心の一等地では現在顕著に取引利回り(投資家が判断する利回り)が低くなっており、地方の物件は利回りが高く、収益還元法においても二極分化が進んでいます。
ここで注意が必要ですが、古い建物の場合(マンションも含め)、将来発生する建物投資のコストをあらかじめ計算する必要があります。建物管理に熟知した専門家に相談し、投資に余裕を持って行う事をお勧めします。

 
このページのトップ
特定非営利活動法人土地・建物・まちづくり相談センター
〒105-0004 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館810
TEL.03-6215-9175